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2007年9月 6日 (木)

眠れぬ夜に 1

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眠れない。

小学生になって一人で眠ることには慣れたけど、

それでもたまに寂しくて眠れなくなっちゃう。

お父さんは新聞記者、お母さんは看護士で、

ふたりとも夜いないことが多いんだ。

誰もいないおうちは静かで心細くて、

ますます眠れなくなっちゃう。

でも大丈夫。

こんな時、強い味方がいるんだ。

眠りの国からやってくる眠りの王様、ねむねむさまだ。

 
「ねむねむさま、ねむねむさま。どうかおいで下さい」

 
心の中でこう3回となえると、ほらほらやってきた。

ちっちゃいくせにいばってるのがおかしくて、

ついつい笑っちゃいそうになっちゃう。

まちがってもねむねむさまに「ちび」とか言っちゃだめ。

ねむねむさまはちっちゃいことを気にしてるから。

ねむねむさまの機嫌をそこねないように、

いつも笑いをこらえるのが大変だ。

 
「ねむねむさまおねがい、ぼくを眠らせて」

 
そう言うとねむねむさまは、

やれやれしょうがないな、

って顔をして、いつももったいつけるんだ。

まったく、ちっちゃいくせに、

態度だけは大きいんだから。

そしてねむねむさまは手に持ったステッキを

ぼくに向け,ぼくの周りをゆっくり回りだす。

1周。

2周。

3周……。

1周回るごとに意識は遠のいて、

ぼくは眠りの世界へと旅立っていく。

朝、目を覚ますとねむねむさまはもういない。

 
「ねむねむさまありがとうございました」

 
心の中でお礼をするのを忘れずに。

お礼をするのを忘れると、

ねむねむさまはへそを曲げてしまうから。

ねむねむさまってこどもみたいだよね。

こうして眠れない夜、

助けてくれるねむねむさまだけど、

あてにならないこともよくあるから困っちゃう。

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