« NO.4 近藤隆(08年6月26日改稿) | トップページ | 手 »

2007年10月29日 (月)

中川翔子と維新の嵐( アイドル愚考録 )

FILT29号の表紙を飾ったのは新ブログの女王として知られる、「しょこたん」こと中川翔子である。

この雑誌はフリーペーパーなので、どの書店でも置いてあるわけではないが、ぜひ手に入れてほしい。私が見てきた彼女のグラビアのなかで間違いなくベストの出来だ。

『 バガボンド 』を意識したという侍の衣装に身を包んだ彼女は、ふだんの華やかで快活な彼女とはまるで違っている。

銀鼠色の着物に黒い袴という渋めの色合いが、画面をシャープに引き締めている。浮かべた表情はその衣装に相応しく、凛々しさと多少の荒っぽさをミックスしたもので、彼女がかなり役に入り込んでいるのが分かり、見惚れる反面、すこし微笑ましくもある。

間違いなくこれは良作だが、ひとつ残念な箇所がある。

彼女が持っているのが刀だということだ。

『 バガボンド 』の主役である宮本武蔵の愛刀、上総介兼重を意識したのだろう、大小二振りの刀を差しているのだが、これがS&Wモデル2アーミー33口径であれば完璧だった。

それが坂本龍馬の所持していた銃であるからだ。

さて、唐突に坂本龍馬の名前を出したのには理由がある。

ふたりにはひとつの共通点があるのだ。

『 時代の寵児 』という共通点が。

ここで勘違いして欲しくないのは、『 時代の寵児 』とはある時代とあまりに密接な関係を築くため、他の時代では平凡な人物となるに違いない人物でもあるということだ。

もし坂本龍馬が幕末に生まれなければ果たして歴史に名を残しただろうか。薩長同盟に勝る一大事を成し遂げただろうか。私は否と断言できる。

彼が坂本龍馬であるためには、あの血腥い時代が、勝海舟のような味方と、新撰組のような敵役が必要だった。

つまり時代が坂本龍馬を必要とし、坂本龍馬も時代を必要としたのである。

そして同様に中川翔子もまた、平成の日本でなければこれほどの活躍を許されなかった。ブログやアニメの氾濫が中川翔子を生み、オタクカルチャーは彼女を通じて世間に広まっていく。彼女と秋葉系文化は共生関係にあるのだ。

そう考えると、今回のコスプレが他のコスプレよりも彼女に似合うのも当然だと言える。つまり彼女は、単に自分の服をクローゼットから出しただけなのだから。

ところで、私は彼女が他ならぬアニメファンによって失墜させられるのではないかと危惧している。

中川翔子のコスプレはアニメファンへのアピール度が非常に高く、そんな彼らが彼女の人気を支えていることは間違いないが、もしも彼らが作り上げてきたキャラクターのイメージを損なうようなコスプレをしてしまえば、彼らを怒らせてしまう危険性も孕んでいるからだ。

コスプレとは2次元と3次元に向けられるため、必然的に自らをも傷つける諸刃の刃となるのである。

坂本龍馬と中川翔子の共通性が、その顛末にまで及ばないことを切に願いながら今回はこの辺で終わりにしたい。

慶応3年11月15日、京都の旅寓・近江屋を十津川郷士を名乗る数名の男たちが来訪する。ぎらぎらと目を光らせた男たちは、店の者の制止を振り切り、階段を駆け上がった。

二階にいた坂本龍馬はその足音を店の者と勘違いし、彼らへの対応が致命的に遅れてしまう。賊の凶刃は龍馬の額を深く傷つけ、その後、奮戦するもののそれが原因で命を落とした。

暗殺の実行犯として上げられているのは見廻り組や新撰組だが、仲間だったはずの西郷、大久保らに命じられた身内の犯行だと主張する者もあり、真相は今なお深い闇の中にある。

|

« NO.4 近藤隆(08年6月26日改稿) | トップページ | 手 »

◇ひげ」カテゴリの記事

●コラム」カテゴリの記事

『アイドル愚考録 』」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/446045/8659398

この記事へのトラックバック一覧です: 中川翔子と維新の嵐( アイドル愚考録 ):

» 『 声 』 [カチハヤのシナリオ日記]
○ 駅のホーム    夕方のラッシュ時。    ランドセルを背負った少年(6)がベン    チに座って熱心に本を読んでいる。    すし詰めの電車が入ってくる。    ドアが開き、たくさんの人が吐き出され    てくる。    その中に仕事帰りの母親の姿..... [続きを読む]

受信: 2007年10月30日 (火) 15時13分

« NO.4 近藤隆(08年6月26日改稿) | トップページ | 手 »