« 番外「S.S.D.S診察会に行ってきました その2」 | トップページ | 年賀状 »

2007年10月 8日 (月)

有村実樹と秋の風( アイドル愚考録 )

『 けふもいちにち 風をあるいてきた 』

漂白の詩人として知られる、種田山頭火の句である。
善くも悪くも自らの業で放浪生活を余儀なくされた山頭火の句には、苦い韜晦と絶望を詠ったものが多いが、中には上記のような、無色で透き通った句も沢山詠まれている。

風はさまざまな顔を持つ。

人を癒しもすれば多くの命を奪うこともある。また冒頭の句のように、人生の様々な出来事をも包括した、見立てとしての風もある。

そんな中、彼女の運んできた風は、間違いなく涼やかな秋の風だ。

『 虚堂録 』にある『 葉々起清風( ようよう せいふうを おこす ) 』という言葉をも髣髴とさせるものだった。

無論、ランナーズ11月号の表紙、有村実樹のことである。

さわやかな風のなか、淡いブルーのランニングウェアと黒のランニングスカートというスポーティな格好で走る彼女のグラビアは、シンプルながら充分に美しさを備えていた。

まるで吹き始めた秋風が、桔梗の花を揺らしているような。

しかし、我々はただそこに漫然と優しさを感じていてはいけない。我々が忘れてはいけないことがある。

有村実樹がJJの専属モデルであるということだ。

モデルである彼女にとって、ここまで装飾性をそぎ落としたグラビアは挑戦であると言える。それまでのイメージとは違った彼女を見せることは、それまでのファンを失うことにもつながりかねない。

しかも、有村実樹の代名詞でもある実樹バングス( 斜めの厚い前髪でおでこを隠すヘアースタイル )が、この写真では風ですっかり上に舞い上がり、ひたいが露になっている。

つまりこのグラビアは風を呼び込むため、モデルとしての有村実樹を殺し、人間としての有村実樹を現出させたのである。

しかもその風になぶられた髪が、我々に風を感じさせる視覚的メタファーになっているのだから業の深い話ではないか。

我々はその犠牲を胸に留め、苦い罪悪感を噛み締めながらこのグラビアに向かう義務があるのだ。

優しい秋風の背後には、厳しい冬が隠れているのである。

|

« 番外「S.S.D.S診察会に行ってきました その2」 | トップページ | 年賀状 »

◇ひげ」カテゴリの記事

●コラム」カテゴリの記事

『アイドル愚考録 』」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/446045/8292776

この記事へのトラックバック一覧です: 有村実樹と秋の風( アイドル愚考録 ):

» 『 好み 』 [カチハヤのシナリオ日記]
○ 駅前・遠景(夜)    駅から多く人が吐き出されてくる。    その中にいた女子高生の由衣が会社帰り    の父親を見つけ手を振って駆け寄った。 ○ 同 由衣「そろそろ切ろっかなー」    由衣が髪をいじりながら隣を歩く父親に    言った。 父親「..... [続きを読む]

受信: 2007年10月 8日 (月) 16時38分

« 番外「S.S.D.S診察会に行ってきました その2」 | トップページ | 年賀状 »