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2007年11月11日 (日)

チェザーレ

会社員、野村の特技は「寝ること」。

何時でも、何処でも眠れてしまう。というか、起きてから寝るまでずっと眠い。

仕事中に転寝などはしょっちゅう。移動中の電車でも、車の運転中でも、何時でも眠ってしまう。

だが、彼が眠っても仕事はいつの間にか片付いているし、車も事故を起こしたことはない。

いわゆる「小人さんが寝ている間にやってくれた」という奴だ。

むしろ、彼は眠っている間の方が優秀な人間だった。

ある日彼が寝ているとき、覚醒と睡眠の狭間でついに小人さんを発見する。

小人さんは彼が寝ている間に体を動かして善行を行い、陰徳を積んでいるという。

そして、徳が高くなった小人さんは神様になれると小人さんは語る。

それならば、と野村は積極的に眠り、小人さんに体を貸し続ける。

その結果、野村は一日の大半を寝て過ごす事になる。いい夢を見ながら。

むしろ起きるのが億劫になってくる。

そんなある日の真夜中、ベッドで寝ていた野村は偶然にも小人さん同士の会話を耳にする。

実は小人さんが善行を積んでいるというのは真っ赤な嘘だった。

小人さんの正体は、地底に住む地球先住民族だった。

元は鉱性生物だった彼らは肉体を地球の地殻と同化させ、精神として生き続けていた。

そこで地表を支配した人間が眠っている間に精神を入れ替え、人間社会をのっとろうと画策していたのだ。

そして、最終的には地球を支配すると言う計画だった。

だが、野村にとってはどうでも良かった。

ただ、彼は眠れればよかった。

という夢を野村は見て、目が覚めた。

朝、満員の通勤電車で居眠りしながら思った。

誰が人間社会を支配しようと、それで何が変わるというのか。何が変わるわけでもない。

結局人間はルールに従って、こうやって暮らす以外に何も出来ないのだ。

と、野村の精神を支配する小人さんは野村にそう思わせた。

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