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2007年12月 3日 (月)

グラビアの条件 ( アイドル愚考録 )

いいグラビアの条件はストーリーを持っていることだ。

優れた作品はこちらの想像をかきたて、脳裏にひとつの物語を走らせる力を持っている。

彼女らは愛する人を待つ貞淑な恋人であり、悪戯好きの気になる同級生であり、そして時には渋谷の夜を苛立ちながらうろつく、未来のボニー・パーカーでもある。

そして、その変化を担うのは彼女らの背後に広がる世界である。

カメラマンによって選択され、フレームで切り取られた世界の断片は、彼女の住む世界、歴史、そして彼女の心象風景でもありうるからだ。優れたカメラマンはさまざまな情報をグラビアに写しこむ。背景こそがストーリーを作り出すのだ。

しかしモデルと背景とがそれぞれ違うストーリーを語っている場合がある。不条理劇ならそれもいいが、そうでないなら残念ながら失敗作と名付けるよりない。

そういった作品に接すると怒りが込みあげる。そして時には、私ならこうする、という素人ならではの恥知らずな考えをしてしまう。

特に私の場合、石坂ちなみのグラビアを見ている時に多いようだ。

彼女は不思議な目を持っている。私はこのような目を他に知らない。

熱を帯び、じっとりと濡れたその目はどこか病的である。目を逸らしたいが、それを許さない。弱々しいくせに妙な迫力を持っている。そして、この目が背後に写った世界を覆い隠してしまうのだ。

カメラマン泣かせの厄介な目だが、しかしこの目こそが彼女の最大の魅力でもある。この個性が無ければ、凡庸な肢体の彼女はすぐにグラビアの世界から消えていたはずだ。

私が彼女の目を見て、瞬間的に浮かんだのは、紅殻の塗られた紅い格子の向こうから、こちら側をぼんやり眺めている、物憂げな遊女の姿だった。

お旦那衆や訳ありの武家衆の通う、華やかな大通りではなく、仕事あがりの職工たちの卑猥な言葉の飛び交う裏通り、彼らの汗臭い体臭と白粉の混ざりあったその界隈で、大店とは比べるべくもない、二級、三級の古びた店で声がかかるのを待っている遊女。

そんな店には決まって歳若いくせに妙に世知なれた、そして疲れた目をした少女が座っていた、と何かの本で読んだことがある。

私の持つ石坂ちなみのイメージとは、うまく符合するのだがいかがだろう。

予算を惜しめば安っぽく俗なものになるだろうが、うまく嵌まりさえすれば誰にも文句の無いものが出来上がる。それぐらいの自信は持っている。

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