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2007年12月24日 (月)

シングルプレイヤー ( アイドル愚考録 )

プロレス界にはタッグ屋と呼ばれる選手たちがいる。

こう書くと、「あれ? アイドル愚考録じゃないの?」と驚く人もいるだろうから、あらかじめ宣言しておこう。

これは間違いなくアイドル愚考録である。安心してほしい。

さて、話を戻す。タッグ屋と聞いて、バーバリアンズ、ファンクス、スタイナーブラザーズ、邪道外道などの名前を思いうかべる人もいるだろうが、今回、私が取り上げるのは彼らのようなタイプではない。

タッグ屋にはもうひとつのタイプがある。

プロレスには6人タッグという試合形式がある。

これは赤と青の各コーナーが3人のトリオを結成してプロレスを行うものだが、プロレスの試合をよく観ている人であれば、6人タッグになるとほぼ間違いなくリング上でコールされる選手がいることにお気づきだろう。

私の言うタッグ屋とは彼らのようなレスラーを指す。

彼らの役目は勝ちを目指すことよりも、一緒に組むスター選手たちをサポートし、一発芸的な得意技でアクセントを加え、試合の流れをコントロールすることにある。

古い名前で恐縮だが、マイティ井上、ヒロ斉藤、キン肉マンならブロッケンJrなどである。

彼らが声援を浴びることはない。しかし、彼らの活躍なくしては好カードは生まれない。スター選手ばかりでは試合の流れが滞ったり、ファンの期待を裏切る大味な試合になってしまうのだ。

そして、彼らのようなタッグ屋はプロレス界だけではなく、グラビア界にも存在する。

グラビアでは新鮮さを演出するため、イベントや一定期間だけ特別ユニットを組むことがあるが、やはりここでもタッグ屋の存在は欠かせない。

ユニットとしての統一感を出すため敢えて個性を消し、看板となるアイドルを盛りたてる。イベントや企画サイドの意図を汲み取り、撮影に臨むだけの経験と知恵を持ったタッグ屋が必要とされる。

そして、その手の企画となるとよく招聘されていたのが熊田曜子である。

彼女はひとりのグラビアも多いが、二人、三人でのグラビアが実に多い。

特に記憶に残っているのは安田美沙子とのカップリングだ。なかでも同系、同色の水着を着用した彼女らがそっと寄り添い、妖しい雰囲気を醸していたグラビアは印象に強く残っている。

しかし私は彼女をタッグ屋とは呼びたくなかった。

なぜなら上記の安田美沙子とのカップリング以外、上質のグラビアを見たことがなかったからだ。

どれもうまいマッチングとはいえなかった。

おそらく熊田曜子は気をつかいすぎる人なのだろう。その撮影者、載る媒体、共演者などを念頭においてポージングや表情を必死に作っているのだが、その努力が透けて見えてしまう。

懸命に努力する姿を見て心を動かされるのは、運動会の保護者くらいである。

残酷なようだが、我々は単純に質の高いグラビアという結果しか求めていないのだ。

そんなわけで私は熊田曜子をグラビア界の駄目なタッグ屋として認識していたのだが、フライデー1月4日号の表紙を飾る彼女を見て認識を改める必要があることを知った。

このグラビアが実に優れていた。秀逸だった。美しかった。

これまでの彼女のグラビアは、上述したように気配りに心を奪われるあまり、媚びるような過度のサービス精神が逆にこちらの欲望を削いだ。

が、今回のグラビアにはそれがない。

視線に熱がない。

口元に力がない。

どこか頼りなく、ふらりと倒れてしまいそうなアンバランスな姿勢。

今までの彼女のグラビアに比べ、分かりやすい媚びなど皆無の、解釈が実に難解で、どこか投げやりで捨て鉢なグラビアになっている。

しかし、それがいい。

我々をなかば無視したような、放心したような態度にぞくりとするような色気がある。

成熟した色香を醸しながら、どこかあどけない純朴さも内在させている。

聖と俗のあいまいな境界線上に、バランスを崩しながら立っている女がそこにいた。

思わず手を伸ばしたくなる、そんな危なっかしさのある一枚だ。

しかも、何という神の悪戯だろう。私がその表紙を目にした書店では、その隣りに安田美沙子の載ったプレイボーイが配置されていたのだ。

私の脳裏に、二人でユニットを組んでいた、あの頃のグラビアが即座に甦った。その時は安田美沙子の良さばかりが目立っていたのだが、さて今回は……。

今回は違った。彼女らは美しさを競い合うライバルとして並び立っていた。

熊田曜子は便利なタッグ屋、バイプレーヤーではなかった。

れっきとしたシングルプレイヤーだったのである。

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