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2008年8月 7日 (木)

千代谷美穂のガールズバイカー ( アイドル愚考録 )

千代谷美穂。

我々はその名前を覚えておく必要があるだろう。

なぜならば、彼女はガールズバイカーの第5号において、あのフランス救国の英雄、ジャンヌ・ダルクでさえ成し遂げなかった奇跡を起こしているからである。

いきなり歴史上の偉人の名前が飛び出したことに戸惑いを覚えた方は多いだろう。しかし、これは単なるハッタリなどではない。何となれば、私は両者の間にある共通点を見出しているのだから。

両者の共通点とは、共に自己主張する強い女性であるということだ。

改めて説明するまでもないが、ジャンヌ・ダルクは神の啓示を受け、さまざまな苦難に見舞われつつも、兵士たちを率いてフランスを救った、英雄の中の英雄である。女性の活躍が厳しかったあの時代に、プライドの高い男たちを統率し、一騎当千の軍団を作り上げた彼女の最大の武器は、どんな抵抗を受けながらも最後まで自らの信念を貫き通した、その鉄の意志である。

まさか、彼女が自己主張する強い女性であることを認めない人はいないだろう。

一方、千代谷美穂はどうか。

彼女は歴史上の人物などではない。過去の人ではなく、現在に生きるアイドルである。ゆえにその性格、行動の全てを知ることはできない。しかし、そんなものは必要ではないのだ。必要なのは、ガールズバイカーの第5号の表紙、そこに写し出された千代谷美穂の立ち姿だけである。

街中である。どこかは分からない。道端に一台のバイクが停まっている。赤と黒のシンプルなカラーリングの、カワサキ製のバイクである。そして、そのすぐ横に持ち主であるらしい女性、千代谷美穂が立っている。彼女はパーカーのポケットに両手をねじ込み、ややアゴを突き出すようにし、こちらを値踏みするような、また見下すような視線を飛ばしている。

不遜な態度である。こちらに媚びることなく、鑑賞者に対して同等、もしくはそれ以上の場所に立とうとする、彼女の強い意思がそこから放射されている。

ここで忘れてはいけないのが、彼女の傍らに停められているのがバイクであるということだ。これは重要な要素である。これが自動車であったならば、この表紙の価値は雪崩をうって下落する。彼女のとなりにあるのは、あくまでバイクでなければならない。

私は、バイクは自己実現のためのアイテムだと考えている。単なる移動手段とするならば、自動車の方が何かと便利であろう。雨天時の走行性。乗車人数。積載能力。安全性。これらの能力において、バイクは自動車に大きく水をあけられている。にも関わらず、バイクを選択するというのは、そこに何かの強い拘り、すなわち自己主張を感じずにはいられない。

彼らはそれらの利便性よりも、カッコよさを選んだのだ。

合理的な判断よりも、自らの信念、美学に殉ずることを選んだのだ。

そして、それが女性であるならば、その意識は男性のそれよりも強いと言わざるを得ない。

一般的に女性は我が身を守る意識が男性よりも強い。それは我が子を守り、育てるために女性に備わった本能的な衝動であるらしい。にも関わらず、彼女たちは自らのスタイルを優先させたのだ。危険を避け、安全を求めよという、人類という種からの根源的な命令を退けてまで。

彼女自身の態度。そして傍らに停められたバイク。その二点から、私は彼女を自己主張する強い女として認定し、千代谷美穂とジャンヌ・ダルクを結びつけるというアイディアの根拠としている。

これを単なる私の思いつき、妄言の類として一笑に付す者がいるだろうことは容易に想像がつく。私自身がそうだからである。しかし、それでも私は千代谷美穂の姿に、オルレアンの聖なる乙女、ジャンヌ・ダルクの姿を幻視せずにいられない。

彼女がカワサキのバイクで戦場を駆る姿が脳裏から離れない。彼女の後ろに付き従う騎士団の喊声。彼らの騎乗する軍馬の蹄が、雷鳴のような轟音を立てる。それは、幻とするにはあまりにも魅力的すぎた。

しかし、忘れてはいけないことがある。それは彼女の終焉のカタチだ。彼女が魔女として火刑に処されたことを抜きにして、彼女の伝説を語り終えることは不可能である。

彼女の死は、ある悲しい事実を示唆している。

男という生き物は、自己主張の強い女性を尊敬、崇拝する一方で、実は敬遠し遠ざけようとする強い衝動を持っているだ。彼女の悲劇的な顛末は、彼女自身の潔白で強過ぎた精神が生んだ必然的帰結であったと私は考える。

これをマシズム、男の身勝手と非難して除外することは簡単だが、グラビアを見る悦びが男の本能的で単純な欲望に根ざしている以上、グラビアを語るうえで決して外すことのできない重要な因子である。

男は自己主張の強い女を好まない。

これは恐らく今後も変わることのない事実である。すると、千代谷美穂もジャンヌ・ダルク同様、悲しい最後を遂げる運命なのであろうか。

私は確信を持って、その問いに『 否 』と答えよう。

彼女の向かう先にあるのは処刑台ではなく、栄光という二文字である。

冒頭で書いた、ジャンヌ・ダルクですら成し遂げなかった奇跡。それは、自己主張する強い女性でありながら男性の反発を招かないこと、である。

この容易ならざる難題を、千代谷美穂はあっさりと解いてしまった。それも最小の手数で。

彼女は大したことはしていない。彼女のしたことと言えば、ただ唇の両端を上へ僅かに持ち上げただけである。しかし、その僅かな表情筋の動きが彼女を火刑台から救い出したのだ。

彼女は笑っていたのである。

こちらを見下すような怖い目をしながら、すぐ下の唇では笑みを作っていたのである。

途端に世界は様相を変える。強張ったモノクロの世界に鮮やかな色彩が宿る。

それまでの強気で挑戦的な振る舞いは単なるポーズだったのだ。そしてポーズを作ると言うことは、それを見せたい相手がいるということだ。つまり彼女は強がって見せていただけなのだ。

それを根拠づけるのが彼女の笑みのカタチである。それは冷笑、嘲笑などというものではなく、隠そうとして隠し切れなかった笑みである。自分の馬鹿げた振る舞いを自覚し、思わず漏れてしまった照れ笑いなのだ。

自己完結した世界に住むジャンヌ。己の信念を失わず、大勢の仲間に囲まれながら誰も寄せ付けなかった孤高の人。その生涯は立派ではあったが、あまりに立派過ぎて近寄れない。仰ぎ見ることはできても、同じ高さで目線を合わせることはできない。

しかし千代谷美穂はこちらと目を合わせ、私たちの声を待っている。一見、拒絶するようなポーズを取っているが、実際にはこちらとのコミュニケーションを欲している。開かれている。

彼女は、夢のように美しいが我々と無限の距離を隔てた夜空の星ではなく、美しさでは遠く及ばないが、人類を暗闇の恐怖から救い出し、真冬の寒さから守ってくれる地上の火であることを選んだのだ。

そんな彼女をどうして愛さずにおれようか。

我々は胸に刻まなければならない。千代谷美穂という地上の火を。

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