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2008年12月 2日 (火)

風と便箋

○ 山間の寒村

   少年が線路の上を歩いている。

   風で飛んできた紙切れが足に纏わりつく。

   手に取る――便箋だ。

   もう一枚、飛んできた便箋を掴む。

   前方にある無人駅のホームで女が手紙を

   読んでいる。足元には大きなバッグ。

   手許から一枚、また一枚(最後)と風に

   飛ばされるが、女は何もしない。

   少年、それらを皆拾い、ホームに駆け上

   がると笑顔で女に差し出す。

   ホームに一両だけの電車が入ってくる。

   女、物憂げな目でじっと少年を見詰める。

運転手「乗らないのかい?」

   女、バッグを持って電車に乗り込む。

   少年は声を掛けようとするが電車のドア

   は閉まってしまう。

   走り出す電車――やがて見えなくなる。

   少年、チェッと便箋を放って走り去る。

   便箋が風に乗って飛んでいく。

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