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2009年5月

2009年5月26日 (火)

ビニ傘

○ 高架下の小さなトンネル

   土砂降りの中、会社員(50)が、濡れ

   ながら小走りにトンネルへと入ってくる。

   トンネルの反対側の入り口近くで女子中

   学生がiPodで音楽を聴いている。

   腕時計を見て落ち着かない様子の会社員。

   雨空をチラッと見上げる。

会社員「君、この辺に傘売ってるところある

 かな」

女子中学生「コンビニ(顎で女子側の入り口

 の方を指す)」

会社員(その態度の悪さに眉をひそめる)


   会社員、女子側の入り口から出て行こう

   とする。

   女子中学生、ビニール傘を差し出す。

女子中学生「あげる」

会社員「あげるって……君、どうするの?」

女子中学生「いいよ。はい」


   会社員、戸惑いつつ傘を受け取る。

会社員「でも、当分、止みそうにないよ」

女子中学生「うん」

会社員「じゃあ、コンビニで傘買って戻って

 くるまで借りるよ。いいね?」


   音楽に集中していて聞こえていない様子

   の女子中学生。

   会社員、傘を開き、出ていこうとする。

女子中学生「返さなくてもいいよ」

会社員「馬鹿にするな」


   雨の中を足早に歩いていく会社員。

   女子中学生、イヤホンを外し、遠ざかる

   会社員の姿を見つめる。

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2009年5月19日 (火)

デッドストック

○ 郊外の駅・駅前広場

   野球のユニフォーム姿で用具バッグを持

   った少年(8)がやってくる。

   広場の中心には時計を掲げたポールが立

   っており、その下に青年が立っている。

   期待と緊張が入り混じった面持ちの青年。

   お洒落し、手に花束を持っている。

   少年、青年をチラッと見て駅へと入って

   いく。

      ×    ×    ×

   夕方。

   改札から出てくる人々の中にユニフォー

   ムをドロだらけにした少年の姿がある。

   少年、がっくりとうなだれながら歩いて

   きて、ふと顔を上げる。

   時計の下で青年が疲れ果てた様子で立っ

   ている。

   青年、少年と目が合うと花束を差し出す。

青年「ん(やるよ)」

   花束を受け取る少年。

   青年、肩を落として歩き去る。

   少年の肩を誰かが叩く。

   振り返ると同い年の少女が立っている。

少年「はい」

   少年、少女に花束を渡す。

少女「きれい。ありがとう」

   少年と少女、手を繋いで歩いていく。

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2009年5月12日 (火)

天気

○ 豪邸・庭

   強い日差しが降り注いでいる。

   リビングの窓から妻(50)が無表情で

   外を見ている。

   車庫から運転手と夫(51)の乗った高

   級外車が出ていく。

   高級スーツに身を包み、自信と活力に満

   ちている夫。


○ 豪邸・リビング(一年後)

   ドアの前に立つ妻。足元には大きなトラ

   ンク。

   ソファーで悄然とうなだれている夫。無

   精ひげを生やし表情に生気がない。

   部屋中の調度品に差し押さえの札が張ら

   れている。

   妻、トランクを持ち、退出しようとする。

夫「気をつけろよ、降りそうだ」

   妻、立ち止まり、窓の外を見る。

   鉛色の空。

妻「なんだか、あなたとお天気の話をしたの、

 久しぶりね」

夫「俺も早いところ自分で傘を差す生活に慣

 れないとな」


○ 同・庭

   ポツポツと雨が落ち始める。

   ガラス越しに妻がトランクを持ってリビ

   ングを出て行くのが見える。

   夫はじっと動かない。

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2009年5月 5日 (火)

探し物はなんですか?

○ 公園

   たくさんの子供たちが遊んでいる。

   少女A(6)、キョロキョロしている。

   少女Aと同じくらいの歳の少年少女数人

   がボール遊びをしている。

   転がっていくボールを取りに来た少年A、

   近くにいた少女Aに気づく。

少年A「君、誰?」

   少年Aとボール遊びをしていた少年らが

   やってくる。

少女B「どうしたの?」

少年A「何か探しているんだって」

少年B「落したの?」

少年C「僕たちも探してあげる」

少女A(首を横に振る)

少年B「なんで?」

   ひとりだけ離れている少年Cが大声で、

少年C「ねー、そんなの後にして遊ぼうよ」


○ マンションの一室・リビング(夕方)

   少女、入ってくる。

   たくさんの引越し用段ボール箱。半分以

   上は明けられ、空になっている。

   ママ、引越し荷物を取り出している。

ママ「お帰りなさい。一人でお友達見つけら

 れた?」

少女(頷き笑顔を見せる)

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