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2009年9月

2009年9月29日 (火)

○ リビング

   パパとママに向き合って座る洋太(8)。

ママ「パパとママ、どっちと暮らしたい?」

   驚く洋太。戸惑い、返答できない。


○ 道

   元気なく俯いて歩く洋太。

   民家が立ち並ぶ中にぽつんと水田があり、

   その畦に学者然とした中年男がしゃがみ

   こんでいる。

   洋太、なんとなく中年男に近づく。

   中年男の見ているのは畦のカエル。

   カエルも中年男をじっと見ている。

   洋太、ぐっと身を乗り出して覗き込む。

   カエル、驚いて水の張られた水田に飛び

   込んで見えなくなってしまう。

   洋太と中年男、顔を見合わせ微笑む。

洋太「カエルって強いね、土の上でも水の中

 でも、どっちでも生きていけるんだ」

中年男「いや、きっと両方ないと駄目なんだ

 よ。弱い生き物なんだよ」


   中年男、水田をぼんやりと眺めている。

   洋太、中年男の横にしゃがみこみ、同じ

   ように水田を眺める。

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2009年9月22日 (火)

電話番

○ オフィス

   社員たちによる高木への拍手。

   花束を手にした高木(60)。

   高木から一番遠い社員が小声で話す。

社員A「定年か」

社員B「最後は電話番くらいしかやることな

 かったな」


   高木、感極まって涙ぐむ。


○ 自宅・玄関

   卓上の電話が鳴る。

   玄関ドアが開き、ゴルフクラブを手に入

   ってきた高木が受話器を取る。

高木「もしもし。ああ、妻ですかーー」

   横から出てきた手が受話器を奪い取る。

   妻、マイク部を抑えて、

妻「勝手に出ないでよ。どうせあたしにしか

 掛かってこないんだから。(受話器を当て笑

 顔で明るい声で)どうも、おまたせ。ごめ

 んなさいね、主人が家にいるもんだから」

高木「(力ない声で)出るのがクセになってる

 のかな。はははっ」


   高木、悄然として外へ出て行く。

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2009年9月 8日 (火)

夏の日の思い出

○ 一戸建て住宅の庭

   真夏の強烈な日差し。

   カーポートの下の日陰に少年がいる。

   胡坐をかき、手にした餌入れを寂しげに

   じっと見詰めている。


○ 回想

   餌入れの牛乳を美味しそうになめる仔猫。

   傍でそれを眺めて微笑む少年。


○ 一戸建て住宅の庭

   手にした餌入れを見詰めている少年。

   頭上でカーポートの屋根を叩く音がする。

   はっとして見上げる少年。

   嬉々として立ち上がると、すぐさま駆け

   出しカーポートの外から屋根の上を見る。

   何もいない。

   落胆する少年の頬に水滴が当たる。

   少年、天を仰ぐ。

   突然、晴れ渡った空からスコールのよう

   な大粒の雨が降り注ぐ。

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2009年9月 1日 (火)

夏のバカンス

○ 住宅街

   とある新築の建売一戸建ての前にタクシ

   ーが停車し、カンカンに怒った若い夫婦

   がそれぞれ別のドアから出てくる。

妻「今回のバカンスであなたっていう人がよ

 ーくわかった。もう一秒でも一緒にいるの

 はイヤ!」


   夫、タクシーのトランクから大きな旅行

   鞄をいくつも取り出し、抱えながら、

夫「こっちのセリフだよ! 望みどおりすぐ

 離婚してやるから、持っていく家財道具に

 自分の名前でも書いてろ!」


   妻、スタスタと家の中へ入っていく。


○ 自宅・リビング

   ドアの前で室内に目を向けながら呆然と

   立ち尽くしている妻。

   夫、旅行鞄を抱え、ぶつぶつ文句をいい

   ながらドアを開ける。

夫「(妻にぶつかりそうになり)うわっ! な

 にこんなところに突っ立ってーー(絶句)」


   室内を見渡すと家財道具一切がなくなっ

   ており、空家のようにガランとしている。

   表の通りから徐行する車の音と拡声器を

   通した声が聞こえてくる。

声「ご旅行中の空き巣被害にはくれぐれもご

 注意ください」


   二人とも脱力し、床にへたり込むと抱き

   合いながら号泣する。

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