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2009年12月

2009年12月29日 (火)

年越し

〇 コンビニ(夜)

   店内を歩くスーツ姿の男。疲れ気味。

   何気なく取ったカップ蕎麦を籠の中へ。

店員の声「大晦日に雪か」

   店員同士が外を見ながら話している。

   雪がちらつきだしている。

   何気なく聞いていた男、ふと思い、慌て

   てカップ蕎麦を棚に戻す。

男「(呟く)寂しすぎるだろ」


〇 住宅街


   舞い落ちる雪が徐々に積もり始めている。

   電子レンジのチンッという音。


〇 アパート

   男、どてら姿でレンジからコンビニのぺ

   ペロンチーノを出し、座って蓋を取る。

男「やっぱ蕎麦にしとくんだったな」

   蕎麦を食うように派手に音を立てながら

   ぺペロンチーノをすする。

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2009年12月22日 (火)

埋める思い出

○ とある一戸建て・裏庭

   少年が犬小屋のそばで、泣きながら地面

   に穴を掘っている。

   自動車の急ブレーキ音。


○ 回想・交番

   警官に事情を話す主婦。

主婦「そうなのよ、ウチの前で撥ねられたみ

 たいで。どこかの飼い犬らしいんだけど、

 気持ち悪いから早いとこ片付けてよ」


○ とある一戸建て・裏庭


   杭に結ばれた犬用のチェーンが途中で千

   切れている。

   三十センチ四方に掘られた穴。

   まだメソメソしている少年、手にした餌

   皿をじっと見詰める。

母親の声「どうしたの?」

   振り返ると母親が立っている。

   素早く涙を拭うと泣き止み、一生懸命平気なフリをして、

少年「埋めるんだ、失くさないように」

   餌皿を穴に入れ、土を掛けていく。

   徐々に餌皿が見えなくなる。

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2009年12月15日 (火)

深夜のこと

〇 公園(深夜)

   暗闇にしんしんと降り続く雪。

   外の道を警官が体に積もる雪を払いなが

   ら、寒そうに自転車で走ってくる。

   公園のそばまで来たところで何かが目に

   留まり停まる。

   降り続く雪の向こうに赤が揺れている。

   赤い傘を差した少女(中学生くらい)が

   ブランコを漕いでいる。

   傘で顔は見えない。

   不思議に思って声をかける。

警官「君」

   突然、放り出される傘。

   駆け出す少女、足音とともに闇の中へと

   消える。

   警官、傘のところまで小走りで来ると、

   少女の逃げた方を見詰める。

   傘を拾おうと手を伸ばす。

警官「(何かに気づく)」

   すぐそばに落ちていた、火のついた煙草

   を踏み消す。

   顔を上げ、もう一度少女の逃げた方を見

   るもしんしんと雪が降っているだけ。

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2009年12月 8日 (火)

第九

〇 小学校・5年2組の教室

   黒板の右隅に書かれた「一月八日 日直

   〇〇 ××」(〇〇、××は名前)の文字。

   担任教師の横に立つ駿(11)。

   顎を上げ、胸を張り、物怖じしない態度

   に見える。

担任教師「転校生を紹介します」


〇 道


   クラスメイト数人と下校している駿。

女子A「友達と離れて寂しい?」

駿「別に」


   駿の鼻歌、徐々にフェードイン。


〇 マンション・廊下

   洗濯物いっぱいの洗濯籠を抱えて通りか

   かる母親。

   鼻歌に気づき、リビングを覗く。

   コタツに首まで入った駿がぼんやり天井

   を見詰めながら第九を鼻歌で歌っている。

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2009年12月 1日 (火)

精神鑑定

〇 郊外の精神病院・正門

   医者、足元にバッグを置いた若い女性。

医者「すっかり元気になって私もうれしいよ」

若い女性「ありがとうございます」

医者「ただ、これだけは約束して欲しい。薬

 をちゃんと飲むこと。君の心がちゃんと安

 定していられるにはまだしばらくは、ここ

 にいたときと同じように薬を飲む必要があ

 るんだ。いいね?」

若い女性「約束します。それじゃあこれで」


   若い女性、お辞儀をして歩き去っていく。


〇 同・病室

婦長の声「そこの患者、退院したからキレイ

 にしといて。すぐ次の人がくるから」


   掃除夫がキャスターつきの大きな洗濯籠

   を押しながら入ってくる。

   布団をそのまま籠に放り込む。

   枕を放り込もうとして違和感に気づく。

   二三度軽く叩いてから、今度は少し強め

   にたたいてみる。

   すると縫い目がほつれ、中身がこぼれ出

   てしまう。

   それは大量の錠剤やカプセル薬。

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