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2010年4月

2010年4月27日 (火)

空き缶

〇 マンションの前

   自動販売機前の受け取り口にジュースが

   音を立てて落ちる。

ヒロのママ「はい、グレープ、コーラ。ヒロ

 はオレンジね」


   と少年達にジュースを放っていく。

ヒロ以外の少年二人「おばさん、ありがとう」

   ジュースを飲みだす少年三人。

ヒロのママ「じゃあヒロ。ママ、買い物に行

 ってくるから。(行きかけて)ちゃんと空き

 缶捨てるのよ」

ヒロ「わかってるよ」


   ヒロのママ、歩き去る。


〇 別の道

   買い物袋を提げて歩くヒロのママ。

   サイレンを鳴らした救急車とすれ違う。

   一瞥しただけで別段気にしない。


〇 マンションの前

   遠くから微かに聞こえるサイレン。

   塀の上にグレープとコーラの空き缶。

   その横の何もない場所を徐々にアップ。

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2010年4月20日 (火)

〇 電車の車内(夕方)

   男、すし詰めの車内で体の向きを換える。

   同じく体の向きを変えていた会社員の女

   と目が合う。

男「よお」

   少し驚いた様子の女、匂いをかぎ、

女「まだ吸ってるの? ホント駄目な人ね」

   とそっぽを向く。

男「でも、奇遇だよな、こんなところで。お

 い、目も合わせたくないってのか」

女「……」


   ホームに停まりドアが開く。

女「降ります」

   逃げるように人ごみをかき分けていく。

男「おい」


〇 ホーム


   急ぎ足で降車してくる女。

   後を追ってきた男が女の手を掴む。

男「待てって」

   振り向いた女――泣いている。

女「あなたの目を見ているとあの子のこと思

 い出しちゃうのよ!」


   走り去る女が人ごみに消えていく。

   追うこともできず立ち尽くす男。

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2010年4月13日 (火)

映画レビュー 『 ハート・ロッカー 』

『 ハート・ロッカー 』(米国公開2009年、日本公開2010年)
   監督 キャスリン・ビグロー
   脚本 マーク・ボール
   出演 ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー ほか



【ストーリー】
 イラクで活動する米軍の爆弾処理班、その一つであるブラボー小隊のリーダーが作業中に殉職。

 新たなリーダーとして配属されてくるのがこの映画の主人公であるジェームズ一等軍曹。

 命知らずの彼は、他の隊員たちの注意などどこ吹く風で危険な任務を難なくこなしていくのだが……。


【 ネタバレを含みます!】

 第82回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響効果賞、録音賞を受賞しました。

 見たのは4月1日なのですが、頭の中で考えがまとまらずこれまで感想を書けずにいました。

 噂に違わぬ、優れた映画です。

 言葉による説明は最小限に抑え、映像の力でぐいぐい観客を引き込んでいきます。

 最近の日本のテレビドラマや映画しか見ていない人にはわかりにくいかもしれませんが、映画好きにとっては、これこそ映画だと思えるそんな作品です。

 彼らは、イラク戦争の後始末としてイラクに滞在し、テロリストの仕掛ける爆弾を処理しているわけです。

 このテロリストというのは、アルカイダなど、主に国外から来た人たちで、イラクを混乱状態に戻そうとイラク人に対して爆弾テロを行っています。

 そんなテロリストからイラク国民を守っているにも関わらず、街中を行けば子供達から石を投げられる主人公たち。

 彼らはここに戦争をしに来たわけではないし、ましてや彼らが戦争を始めたわけでもない。

 イラク人をテロの脅威から守るために命を懸けているにも関わらず、アメリカ軍というだけでひとくくりにされてしまう。

 彼らの仕事は皮肉そのものです。

 ジェームズは命がけの仕事をしているにもかかわらずそれをゲームのように楽しんでいます。

 ベッドの下にはこれまでに解体した爆弾の一部を戦利品のようにコレクションしており、「あと〇日で帰れる」などと帰国を心待ちにしている隊員たちとはまるで違います。

 ジェームズはなぜ他の隊員たちはのように恐怖を感じないのか。

 それは彼が何も考えないようにしているからです。

 誰が戦争を始めたのか、イラクがどんな状況なのか、イラクの人たちがどんな人間なのか、そして自分が死ぬかもしれないことも……。

 ところが彼はある出来事をきっかけに“死”というものを強烈に意識するようになります。

 それから彼は前のようにゲームを楽しめなくなります。

 死の恐怖に戦く彼は、リーダーとしての判断を誤って仲間にひどい怪我を負わせてしまうばかりか、爆弾を処理できずに犠牲者まで出してしまいます。

 自身の無力さを胸に帰国した彼は、妻と子の待つ我が家で暮らし始めます。

 死の恐怖から開放された平穏な暮らしを送る彼ですが、話すことといえば戦場でのことばかり。

 せっかく自分の国へ戻ってきたのにどこかしら空虚なものを感じずにはいられません。

 そんなとき彼はスーパーで買い物中にふとシリアルの棚を目にします。

 棚一面に並べられたたくさんの種類のシリアル。

 しかし、どれもこれも全く見分けが付かない。

 まるで彼がイラク人の顔を見分けることができなかったかのように。

 彼は考えます。

 自分は何をすべきか……、自分にしかできないことは何か……、自分は何をするために生まれてきたのか……。

 考え抜いた末に彼はイラクに戻る決意をします。

 自分にできることなんて大したことはないし、イラクの状況を変えるような大それたことなんて出来るわけがない。

 でも、自分は誰よりも巧く爆弾処理が出来る。

 ならば、それによって一人でも多くの命を救うことこそ、自分がこの世に生を受けた証なのではないか。



 この映画は、これまで米国で作られてきたイラク戦争を題材、もしくはテーマにした映画の次に来るものです。

 イラク戦争開始からこれまでのハリウッド製戦争映画は、戦争を反省するものか、批判するものでした。

 この映画が問いかけるのは「反省するのは大事なことだが、反省し続けるだけでは意味がない。今度はそれを行動に移すべきじゃないか。一人一人の力はちっぽけだが、自分に何ができるのか、何をすべきなのかを考えてみよう」ということだと思います。

 今、自分は何をすべきか、何が出来るのか。

 この問いかけがあるからこそ、この映画はこれまでの戦争批判映画と一線を画し、アカデミー賞を受賞できたのではないでしょうか。

※ シリアルの解釈については独自のものですので、「違うぞ」という方はぜひコメント欄にご意見をお寄せください。

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2010年4月 6日 (火)

シリアル

〇 スーパー(夜)

   いくつか商品の入った籠を手に歩いてく

   る恵(29)。

   疲れた表情。

   CMキャラの風船が目に入る。

   何気なくそのキャラの描かれたシリアル

   を手に取る。

   棚一面のシリアルーー何種類もあるが見

   分けが付かないーーを見る。

   コールセンターの喧騒、イン。


〇 回想・コールセンター

   制服姿の恵が働いている。

   ふと周囲を見回す。

   カメラ徐々に俯瞰。同フロアで数十人が

   同じ制服で働いている。


〇 スーパー

   恵、シリアルを戻し、CMキャラの風船

   を軽く小突き、歩きだす。

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