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2010年5月

2010年5月25日 (火)

母と子

〇 マンション・リビング(夜)

   (off)子供のすすり泣き。

   荒れた室内――料理はぶちまけられ、割

   れた皿やグラスが散乱、小学校の教科書

   が床に溜まったジュースに浸っている。

母親の声「みつきー」


〇 マンション前の道


   泣きじゃくりながら歩いている母親。

母親「許してよー。ねぇ、みつきー」

   通りを走る車のヘッドライトが時折顔を

   照らしていく。


〇 ビルの間の狭い場所

   「みつきー」という母親の声が少し離れ

   たところから聞こえる。

   室外機の陰ですすり泣いているみつき(9♂)。

   口の端が切れ、周辺が痣になっている。

みつき「僕がいなきゃ生きていけないくせに」

   ぐっと袖で涙を拭う。

   母親の泣き喚く声が聞こえてくる。

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2010年5月18日 (火)

関係

〇 踏み切り

   警笛が耳障りなほどけたたましく響く。

   遮断機が上がるのを待つ若い営業マン。

   照りつける太陽を恨めしそうに見上げる。

   気づくと野良猫が彼で出来た日陰で丸く

   なっている。

   彼が日陰の位置を動かすと野良猫も動き、

   また丸くなる。

   ちょっとムッとする。

   遮断機が上がり、歩き出す。

   ふと見ると野良猫が斜め後ろに出来た彼

   の影に巧く収まりながらついてきている。

   無視を決め込み、歩く。

   角で曲がる。

   影が彼の斜め前に移動したため野良猫も

   そこへと移動。

   彼の方が野良猫についていっているよう

   に見える。

   また角を曲がろうとする。が、野良猫は

   まっすぐ行ってしまう。

   慌てて野良猫が影に収まるよう後につき、

   ホッとする若い営業マン。

   人気のない住宅街に一匹と一人が消えていく。

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2010年5月11日 (火)

明かり

〇 子供部屋(夕方)

   少年の額に手が当てられる。熱っぽい顔。

   もう一方の手を自分の額へ当てる母親。

   母親は仕事帰りと思しきスーツ姿。

母親「朝よりはいいみたい」

   寝ている少年の額に冷却ジェルを当てる。

少年「ねぇ、電気消して」

母親「寝るの?」

少年「明るいと辛いの」

母親「もう少ししたらご飯にするから」


   出て行きしなに電気を消そうとしたとき、

少年「お母さん」

母親「ん?」

少年「僕、翔ちゃんに謝ろうかな」

母親「?」

少年「意地悪なこと言っちゃったかもしんな

 いから」

母親「じゃあ、早く良くならないとね」


   電気を消して退出。

   少年、脱力するように目を閉じる。

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2010年5月 4日 (火)

恋の煙

〇 ファストフード店・店内

   客で混み合った店内。

   四人掛けに独りで座っている弘美(36)。

   ふと見ると仕切りガラスの向こうの喫煙

   席で男性客が吸っている。


〇 回想・安アパート(十五年前)

   立ち上る煙を手で散らす弘美(21)。

   構わず煙草を吸っている健一(21)。

弘美「もお! 服に匂いがつくのよね」


〇 ファストフード店・店内

   ガラスの向こうの煙草の煙を遠い目でじ

   っと見詰めている弘美。

彩(6)「ママ!」

   娘の彩が抱きついてきて弘美の服に顔を

   埋めた。

   弘美、普段どおりの笑顔。

   夫の洋司(37)が三人分の食事を載せ

   たトレイを手にやって来る。

   談笑しながら食事を始める幸せそうな三人。

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