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2016年8月11日 (木)

ヤヌスの鏡

◯ カラオケボックス

   八街桧鶴(やちまたひづる20♀)を含めた

   男女6人、隅っこの桧鶴から、

   男女交互に座っている。

   本を見ながら「何唄おっかなー」とか、

   「飲み物何にするー?」とか、みんな楽しげだ。

桧鶴N「今日はバイト先の人たちとカラオケ」

   武田(21♂)に飲み物を聞かれた桧鶴は

   「あ、じゃウーロン茶で」と硬い笑顔で返す。

   まぶしい武田の笑顔。

   ときめく桧鶴。

桧鶴N「なんと、憧れの武田くんに誘われたのだ!」

 

◯ バーのステージ(イメージ)

   気持ち良さそうに唄う桧鶴。

   あまりに酷い桧鶴の唄に、お客は口々に「やめろー」

   「ひっこめー」と罵声を浴びせられ、

   物を投げられている。

桧鶴N「唄がヘタなのはよーくわかってる」

 

◯ 再びカラオケボックス

   みんな間の手を入れたりしながら盛り上がっている。

桧鶴N「だから今日、唄は封印」

   控えめだけど、それでも精一杯盛り上げる桧鶴。

桧鶴N「たとえどんなに唄いたくとも」

   笑顔がひくひくしている。

桧鶴N「耐えるのだ」

武田「(桧鶴に気付き)八街さん、

 全然唄ってないじゃない」

桧鶴「(恐縮して)あたしはいいよ」

   と、手をブンブンブン。

桧鶴N「だめ」

武田「なんで?唄いなよ」

桧鶴「だって、すごくヘタなんだもん(赤面)」

桧鶴N「だめだってば」

武田「別におれだってうまくないしさ、

 みんないっしょだよ」

桧鶴「で、でも……」

桧鶴N「……」

武田「八街さんの唄聞きたいな」

桧鶴N「……少しくらいならいいよね」

   一同盛り上がる。

   照れ笑いを浮かべる桧鶴。

   唄い出す桧鶴。

   桧鶴のあまりの酷い唄に一同のけぞる。

   上機嫌で唄う桧鶴。

   と、突然店員がドリンクを持ってくる。

桧鶴「人が唄ってるのに入ってくんなー!」

武田「(引きつりながら)ちょっと、八街さん……」

桧鶴「(武田に)うるさいんじゃぼけー!」

   武田を突き飛ばす。

武田「(愕然と)や、やちま……」

   テーブルに足を乗せ、

桧鶴「(店員に)おまえもあたしの唄を聞けー!」

   一同ドン引き。

 

◯バー(夜)

   グラス片手にカウンターに突っ伏している桧鶴。

桧鶴「やってもーたぁあああああ」

   グラスを拭きつつ横目に桧鶴を見ているマスター。

   カウンターに背中から

   もたれかかってるウェイトレス。

ウェイトレス「あんた唄やめたら?」

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