« 2016年8月 | トップページ | 2016年10月 »

2016年9月

2016年9月29日 (木)

エクストラドライマティーニ

◯ バー

   カウンターで呑んでいる

   桧鶴(ひづる♀20)弥葉(みつは♀21)

   マティーニを呑みもせず、

   オリーブでかき混ぜている桧鶴。

桧鶴「マスター元気?」

弥葉「まあね」

桧鶴「お客さん、入ってる?」

弥葉「まあね」

桧鶴「じゃあさ──」

弥葉「そんなに気になるなら店に来れば?」

   桧鶴、手を止め、

桧鶴「いいの!?」

弥葉「お客を拒む理由は無い」

   桧鶴、グラスに目を落し

桧鶴「唄わせちゃくれないか……」

弥葉「唄いたいの?」

 桧鶴が唄えども聴いてないお客の画インサート。

桧鶴「……」

   マティーニをぐいっと呑み干し

桧鶴「唄、やめようかな……」

   突っ伏す。

弥葉「あんたの人生だ。好きにしたらいい。

   自分が何をしたいのか、よく考えてみるんだね」

   弥葉、お金を置いて席を立つ。

   店の入り口で桧鶴を顧みる。

   突っ伏している桧鶴。

   店を後にする弥葉。

   空になったグラスを見つめ

桧鶴「あたし、何したいんだろう……」

   グラスにはオリーブが残っている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月22日 (木)

◯ カラオケボックス

    盛り上がるみんなとは対照的に

   一人浮かない八街桧鶴(やちまたひづる20♀)

マスター(声)「ステージには上げられない」

   グラスを磨くマスターの画インサート。

桧鶴「(ぼそっと)上手に唄えたのに……」

   武田(21♂)桧鶴に気付き、

武田「どうかしたの?八街さん」

桧鶴「ううん、なんでもない」

   武田、桧鶴にマイクを渡し、

武田「はい、次八街さんの番だよ」

桧鶴「うん」

   身構える一同。

   マイク片手に暴れる桧鶴の画インサート。

   唄い出す桧鶴。

   音程も外さず、普通に唄っている。

   一同、怪訝な顔をする。

武田「八街さん、上手じゃない」

   にわかに盛り上がる。

   皆一様に安堵の表情。

   少し気が晴れて来た桧鶴。

   ふと気付く。

   曲を探しているもの、話をしているもの、

   注文しているもの……

   桧鶴の歌を聴いていない。

   だれも聴いていないバーのお客の画インサート。

   唄を止める。

武田「どうしたの?」

桧鶴「ごめんなさい、ちょっと気分悪くて」

   部屋を出て行く。

武田「八街さん?」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月15日 (木)

理由

◯バー

   カウンターでグラスを磨いているマスター

   弥葉(みつは♀21)は店じまいをしている。

桧鶴「おつかれさまでしたぁ」

   楽屋から桧鶴(ひづる♀20)が脳天気にやってくる。

弥葉「おつかれ」

マスター「……」

桧鶴「(うれしそうに)マスター、

 今日は初めて物を投げられませんでしたよ!」

マスター「そう」

桧鶴「なんか、こう、つかんだ気がするんですよね!」

マスター「……」

桧鶴
「どうでしたか、マスター?」

マスター「楽しかったかい?」

桧鶴「そりゃあ、楽しいですよ。ちゃんと聞いてもらえたんですから」

マスター
「みんな聞いてたのかな」

桧鶴「え?」

マスター「あんな唄い方をするなら、もうステージには上げられないな」

桧鶴「なんでですか!?へたくそな唄い方した方がいいっていうんですか!?」

マスター「それすらわからないって言うなら、ますますステージには上げられない」

桧鶴「そんな……!」

弥葉「マスター」

マスター「弥葉、キミももう上がりなさい」

弥葉「……」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月 8日 (木)

良し悪し

◯ バー

   ステージで唄っている桧鶴(ひづる♀20)

   お客たちは銘々に酒を傾け、会話を楽しんでいる。

   カウンターにもたれてステージを見ている

   ウェイトレスの弥葉(みつは♀21)

   グラスを磨いているマスター

弥葉「あいつ、唄うまくなったっすね」

マスター「そうか?」

   桧鶴の唄にのけぞる客の画インサート。

弥葉「だって音程外してないし、

 ちゃんと譜面通りに唄えてるじゃないっすか」

マスター「それくらい誰だってできる」

弥葉「でもあいつはそれすらできなかったんすよ?」

マスター「……」

   黙々とグラスを磨いている。

弥葉「……空いてるグラス下げてきます」

   客席に向かう。

弥葉M「さっきから同じグラスばかり磨いている」

   唄っている桧鶴を見る。

弥葉M「まともに唄えてるじゃないか。

 なにが気に入らないんだ?」

   お客に物を投げられながらも

   唄っている桧鶴の画インサート。

   その目は輝いている。

   今の桧鶴。

   その表情は心無しか、浮かないように見える。

弥葉「?」

   客席を見渡す。

   誰も唄を聞いていない。

弥葉「……」

   ちらりとマスターを見る。

弥葉M「これは……?」

   まだ同じグラスを磨いている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月 1日 (木)

風と太陽?

◯ バー

   ステージがあり、女性がブルースを歌っている。

   客席でグラスを傾けつつ聴いている   

島田(♂27)と吉川(♀25)。

島田「なかなかいいお店でしょ?」

吉川「(退屈そうに)まあまあかなぁ」

島田「ここはさ、バンドとかシンガーとかが出て来てさ、

 生音で音楽を流してくれるんだ」

吉川「(ケータイを取り出す)ふーん」

島田
「(必死)あのさ、良かったら

 また誘ってもいいかな?」

吉川「(ケータイをいじりだす)えー」

   ステージから下がる女性シンガーに

   拍手が送られている。

島田「イタリーの美味しいお店見つけたんだ。

 小さいけど飾り気のない、雰囲気のいい店でね。

 吉川さんもきっと気に入ると思うんだ」

吉川「(興味無さそうに)どーしよっかなー」

島田「あのさ、おれ、実はさ」

   ステージから酷い唄。

   のけぞる島田、引きつる吉川。

   ステージでは桧鶴(ひずる20♀)が唄っている。

吉川「なにこれ!?」

島田「いや、あの、彼女ここの名物でさ。

 なんていうか……」

吉川「なんなのこの心の底が

 ざわざわするような唄は。サイっテー!」

島田「だ、だけどね、だけど……」

吉川「ごはんにジャムをかけたような

 不愉快さだわ!だけど……」

島田「だけど?」

吉川「……席を離れられない」

島田「そ、そうなんだよ!

 なぜか聴かされちゃうんだよね!

 なんて言うのかなー。あの、ほら……」

吉川「島田さん」

島田「はい!」

吉川「ここだったらまた誘われてあげてもいいよ」

島田「え?」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年8月 | トップページ | 2016年10月 »